横島勝人(よこしま かつと)

 大阪・高槻市出身。大阪音楽大学在学中より、高槻市音楽団などで指揮活動を展開し、1990年から7年間に亘ってウィーンへ留学。98年にキリル・コンドラシン国際指揮者コンクールでベスト8に選ばれ、翌99年、ウィーン楽友協会ホールでのトーンキュンストラー交響楽団との演奏会において、ベートーヴェン交響曲第9番を指揮してウィーンデビューを果たした。2000年には、小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅠ、そしてⅡ、Ⅲ、とアシスタント及び合唱指揮を務める。06年には、ウィーンとプラハでモーツァルト生誕250年「レクイエム・ガラ」特別演奏会でタクトを振り、絶賛を博した。09年、11年、15年、ベルリン、プラハ、ローマの「国境なき合唱団&ベルリン・シンフォニエッタ」チャリティー公演等で、ベートーヴェン「第九」を指揮している。
 ダイナミックさと繊細さを併せ持つ横島の指揮は、聴く者を、音楽そのものが持つ深い感動へと導く。温厚な人柄と情熱的かつ的確な指示によって、奏者の力量を引き出し、やがて聴衆と渾然一体化するその音楽は、多くの奏者・聴衆から熱い支持を得ている。
 現在、横島は、地域から普遍的・国際的な音楽を発信する活動にも力を注いでおり、08年には、松本市で、モーツァルトの交響曲全52曲を10年かけて演奏する「モーツァルト交響曲・全曲演奏会」の芸術監督就任。さらに温泉地・宇奈月の「湯の街ふれあい音楽祭モーツァルト@宇奈月」の芸術監督にも就任し、さまざまなかたちで音楽を楽しむ新しい音楽祭を目指している。理想は、ウィーンのように、地域全体が音楽を支え、楽しむ場となること。また、若手を含む音楽家の自立および団結を目的とする組織を立ち上げ、活動を展開中である。
http://k-yokoshima.wix.com/katsuto-takt-club

文/高橋彩子 Photo:井村重人