岡田司(おかだ つかさ)

 1953年大阪生まれ、幼時よりピアノ、作曲、フルートを学ぶ。当初神戸大学に進学したが、音楽の道に進むことを決意し上京。指揮法を齋藤秀雄、山田一雄、手塚幸紀の各氏に、フルートを林リリ子女史に師事した。

 1977年広島交響楽団を指揮し正式にデビュー。その後国内の主要オーケストラに次々と客演しいずれも好評を得る。

 1979年タングルウッド音楽祭で小澤征爾、レナード・バーンスタインの両氏の指導を受ける。その後もアメリカに滞在し小澤征爾氏の薫陶を受ける。

 帰国後二期会などで、ウォルフガング・サヴァリッシュ、ズデニエック・コシュラー、朝比奈隆、小澤征爾、若杉弘、秋山和慶、手塚幸紀、尾高忠明、佐藤功太郎各氏のもと、副指揮者、合唱指揮者として数々のオペラ制作に関わり、その手腕を高く評価された。

 1981年関西二期会公演でブリテン《ねじの回転》を関西初演し、オペラ指揮者としてのデビューを果たす。オペラ公演ではこれまでにラヴェル《子供と呪文》、モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ(中国二期会)》、モーツァルト《魔笛》、ロッシーニ《セビリアの理髪師》、ウェーバー《魔弾の射手》、プッチーニ《蝶々夫人》、ドニゼッティ《愛の妙薬》(いずれも日生オペラシリーズ)、ヴェルディ《椿姫》、ビゼー《カルメン》(各草加オペラ)、レハール《メリー・ウィドウ(大阪喜歌劇協会)》などを次々と指揮。そのいずれもが確かな成果を生み、誠実な音楽作りとともにオペラ界での地歩を確立。また、1996年には名古屋市主催によるヨハン・シュトラウスのオペレッタ《こうもり》の公演において、オーディションによって選ばれた地元の出演者と取り組み、連続12回指揮。自治体と市民が一体となった画期的な取り組みに全面的に協力し、公演の成功とともに大いに話題を呼んだ。

 そのほか、有名なオペラからあまり上演されないめずらしいオペラまで、広範なレパートリーを持ち、充実した活動をみせている。

 またオーケストラ作品においては、とりわけフォーレ、ラヴェル、ドビュッシー、プーランクなどフランス作品を得意とし、エスプリ溢れる独自のプログラミングが好評を得ている。

 1987年から1990年まで、名古屋フィルハーモニー交響楽団の指揮者を務め、1990年からは大阪センチュリー交響楽団の指揮者に就任、同オーケストラの創設に立ち会った。  「サイトウ・キネン・フェスティヴァル松本」におけるオペラでは、1998年プーランク「カルメル派修道女の対話」、1999年ベルリオーズ「ファウストの劫罰」と続けて合唱指揮を担当した。

変わらぬ音楽への情熱に溢れる指揮は、常に安定した評価を受けており、ますます意欲的な活動を展開している。